昨今の状況下で運動不足が原因による、肥満に悩まされている方は少なくありません。エステやジムに通いたいけどひとまず自粛中という方は、自宅のお風呂でできるリンパマッサージでアプローチしてみるのはいかがでしょうか。簡単で継続しやすいことに加え、健康や美容にもつながるおすすめの方法です。
この記事ではリンパマッサージの効果や、お風呂で行うのが効果的と言える理由、具体的なステップをご紹介します。
リンパマッサージとは
頻繁に耳にする「リンパマッサージ」という言葉ですが、具体的な方法やリンパの実際の場所がよく分からないという人も多いのではないでしょうか。そもそもリンパとはどんな働きをしているのか、マッサージによりどんな効果が得られるのか順番に見ていきましょう。
リンパの働き
「リンパ」とは身体中に張り巡らされたリンパ管とその中を流れるリンパ液、リンパ管の中継地点であるリンパ節を指しています。リンパは身体の中の老廃物や余分な水分などを吸収して、体外に排出する働きをしています。簡単に言うと、血管が上水道ならば、リンパは下水道のような働きをする器官というわけです。
リンパの働きが滞ってしまうと、身体の様々な場所に余分な水分や老廃物がたまり、むくみや身体のだるさなどさまざまな不調を引き起こします。例えば、美容の大敵であるセルライトができるのも、ひとつにはリンパの機能低下が原因だと考えられています。
リンパマッサージの効果
心臓という強力なポンプが原動力となって流れる血液と違い、リンパ液は「筋肉の動き」によってゆるやかに流れています。つまり、運動不足が続くと当然リンパの流れは滞りがちになるということ。それを解消するために、マッサージによって外部から筋肉や皮膚に働きかけることが大切になってくるのです。
リンパマッサージによってリンパ液が十分流れるようになると、身体の老廃物や水分が排出されます。その結果、むくみが解消されすっきりボディへ。むくみが取れるだけでも身体のシルエットがかなり変わりますよ。それと連動して血行も良くなって末梢血管まで血が通うため、肩こりや腰痛、冷え性の改善も期待できます。
さらに、マッサージでリンパや血液の流れが良くなると、基礎代謝がアップするという嬉しい成果も。効率よくカロリーを消費する太りにくい体質作りにつながります。
入浴中のリンパマッサージが効果的な理由
リンパマッサージは、やり方によってその効果もまちまち。効果をあげるには環境を整えることが欠かせません。実はお風呂は、リンパマッサージを行うのに理想的な場所なのです。
温熱作用でマッサージの効果を高める
寒い冬の時期は、身体の筋肉や関節が固まってしまいがち。その状態でセリフリンパマッサージをしても、なかなかほぐれません。マッサージ前のウォームアップが必要です。
まずはバスタブにゆっくり浸かって、身体を温めてからマッサージを行いましょう。リンパマッサージは身体が十分に温まっている状態で行うと、より一層効果が高まります。お湯に浸かると温熱作用によって血管が広がり、全身の血行が良くなります。血液やリンパの流れがスムーズになり、余分な水分や老廃物が流れやすい環境が整うのです。血管の拡張効果が得られやすい炭酸入浴剤を合わせて使うことをおすすめします。
肌への負担が少ない
お風呂で行うリンパマッサージは、肌への負担が少ないのもメリットのひとつです。室内でマッサージをする場合には、服との摩擦が気になりますね。潤滑剤を塗るのがおっくうだと感じる人もいることでしょう。
バスタブ内でのマッサージなら、お湯に浸かりながら行うため肌の滑りが良く、摩擦が生じません。全身の素肌に直接手でアプローチできるので、余分な刺激を与えずに済みます。できればさら湯ではなく、スキンケアラインの入浴剤やバスオイルなどを使うとさらに肌に優しいマッサージができるでしょう。
なお、バスタブから出てマッサージする場合には、オイルや保湿クリームなどのアイテムを使って、負担を最小限に抑えることが必要です。
リンパマッサージを行う前の準備
リンパマッサージは正しい手順で行うことが重要。間違った方法で行うと、かえって逆効果になってしまうこともあります。一度慣れてしまえば決して難しいものではないので、しっかりとステップを確認しておきましょう。
入浴前の準備
最初のポイントは、リンパマッサージを始める前にコップ1杯のお水を飲むことです。水分を補給することでリンパの流れを高めることができます。お風呂の中で水を飲みながらマッサージをするのもおすすめです。
また、リラックスした状態で行うのも大切。興奮状態(交感神経優位)で浸かってしまうと血管が収縮してしまうためマッサージが逆効果となります。身体がリラックスしていると(副交感神経優位の状態だと)、血管やリンパがゆるんで体液の流れがスムーズになります。リラックス効果のある入浴剤や、アロマキャンドルなどを活用して、バスタイムを癒しの時間にするのも良いですね。
入浴でウォームアップ
最大のポイントは、マッサージの前に入浴してじっくりと身体を温めておくことです。ただし、熱すぎるお湯は交感神経を刺激してリラックスの妨げになるとともに、湯あたりの原因にもなるので避けましょう。42℃を境に、副交感神経優位から交感神経優位に変わると言われているため(著:早坂信哉「最高の入浴法」より)、38~40℃くらいのぬるめの温度で5分ほど浸かるのがベスト。心も身体もほぐれたタイミングで、バスタブの中でマッサージを行います。
リンパマッサージの手順
身体の中には5大リンパ節と呼ばれるものがあります。リンパ節はリンパ液を濾過するフィルター機能で、いわば老廃物や水分を捨てるゴミ箱のようなもの。このリンパ節の中でも特に重要な5大リンパ節を意識しつつ、順番にマッサージをしていくのがコツです。
その5つとは、頸部リンパ節、鎖骨リンパ節、腋窩(えきか)リンパ節、鼠径(そけい)リンパ節、膝窩(しっか)リンパ節です。では、それぞれのエリアごとに見ていきましょう。
鎖骨リンパ節
いちばん最初にマッサージしてほしいのが、鎖骨リンパ節を中心としたエリア。鎖骨リンパ節は身体中のリンパが集まる部分で、リンパの最終出口です。もっとも詰まりやすいリンパ節でもあります。どの部分をマッサージする場合にも、最初にこの部分をほぐしておくことで老廃物を流しやすくなります。
まず、指4本で鎖骨の上から肩に向かってゆるくさすりましょう。決して力を入れすぎないのがポイント。リンパは皮膚のすぐ下にあるので、圧をかけなくても十分効果が期待できるんです。これを5~10回ほど繰り返します。1ストロークは3~5秒くらいが目安となります。
頸部リンパ節
続いて、頸部リンパ節のエリアに進みましょう。耳の後ろから首へ向かってさすっていきます。首や肩の凝りはもちろん、フェイスラインのシェイプアップ効果も狙えるポイントです。
腋窩(えきか)リンパ節
腋窩(えきか)リンパ節とは、脇の下にあるポイント。肩甲骨から脇を通って前へ、さらに胸の中央から脇に向かってリンパを流していきます。腕部分は手のひらから付け根へ、甲の側も同様にさすります。脇にある大きなリンパのゴミ箱に老廃物を流し込むイメージで、マッサージしてみましょう。
鼠径(そけい)リンパ節
脚の付け根部分にあるのが鼠径(そけい)リンパ節です。おへそ周りをぐるぐるとさすり、胸の下から骨盤に向かってマッサージ。腰から横腹を通って鼠径部へリンパを流します。
膝窩(しっか)リンパ節
最後のポイントはひざ裏にある膝窩(しっか)リンパ節。脚を下から順にほぐしていきましょう。まずはツボがひしめき合う足の裏を、ぐりぐりと刺激。ふくらはぎを両手で包み、ひざ裏目掛けてさすります。指2、3本を使ってひざ裏をぐっと刺激しましょう。
セルライトがたまりやすい太ももも、ふくらはぎ同様に下から優しくさすります。脚はマッサージの効果が現れやすい部分。一度のマッサージでむくみが取れ、スッキリした実感が得られることもありますよ。
人によっては1~2週間続けただけでも、すぐ効果を実感できるバスタイムのリンパマッサージ。短期間でむくみが取れて痩身効果が感じられるだけでなく、代謝がアップして長期的なダイエットも見込めるアプローチ法です。老廃物をデトックスして美肌効果も期待でき、免疫がアップして健康的にもなれなど、良いことづくめですね。
毎日のバスタイムにリンパマッサージを取り入れて、効率よく美活を始めるのはいかがですか。
PROFILE

- 炭酸入浴剤のセカイ 編集長
-
不動産販売・管理・経営を経て、某コンサルティング会社役員。現在30歳。日々の業務に忙殺され、自分を見失いかけていた頃に炭酸入浴剤「ホットタブ」と出会う。入浴、睡眠、体調管理の重要性を知り、炭酸入浴剤のセカイへ。保有資格:入浴検定、宅地建物取引士、管理業務主任者
ベストオブ入浴剤:薬用ホットタブ重炭酸湯
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